合成の誤謬(ごびゅう)を防ぐために

最近、この「合成の誤謬」という言葉をテレビ、本、雑誌、セミナーなどで
見たり聞いたりすることが増えてきました。
意味は「ミクロの視点では合理的な行動であっても、それが合成されたマクロの世界では、必ずしも良くない結果が生じてしまうこと」を指す経済学用語のようです。

例えば、
企業の場合、従業員一人一人がそれぞれプラスになることをしているのに、
結果として企業全体にとってはマイナス影響を与えてしまう…
国内の場合、国民一人一人がプラスになることをしているのに、
結果として国全体のとってはマイナス影響を与えてしまう…
世界の場合、各国々がプラスになることをしているのに、
結果として世界全体にとってマイナス影響を与えてしまう…

こうしたことは、今、発生しているあらゆる事実や現実と重ね合わせてみると
納得してしまうのではないでしょうか?

日本の場合、低生産性が大きな問題となっています。
日本生産性本部発表の「労働生産性の国際比較2021」によると下記の通りの状況です。
http:// https://www.jpc-net.jp/research/detail/005625.html

1.日本の時間当たり労働生産性は、49.5ドル。OECD加盟38カ国中23位
2.日本の一人当たり労働生産性は、78,655ドル。OECD加盟38カ国中28位
3.日本の製造業の労働生産性は、95,852ドル。OECDに加盟する主要31カ国中18位

日本はお客様を大切にする姿勢においては世界でトップクラスながらも、
全体としては結果が低迷している…
これは、どこに問題があるのでしょうか?

ある資料によれば、ミクロの合理性とマクロの合理性は基本的に違うので、
これらを一致させる仕組みが必要と記されていました。
つまり日本は根本的にその仕組みが大きく不足しているのではと思います。
それらを一致させるためには、組織の垣根を超えた共有や議論を徹底して継続する必要があります。

【ベクトルを合わせる】という稲盛フィロソフィーがあります。
合成の誤謬を防ぎミクロ、マクロ双方に良い結果を産むためにも、
常に追求し続けることを忘れてはなりません。