司馬遼太郎記念館を訪ねて

司馬遼太郎氏の長編小説「坂の上の雲」を何度も寝落ちしそうになりながらも、
読みきった一区切りとして東大阪市にある司馬遼太郎記念館を訪ねました。

記念館は有名な建築家の安藤忠雄氏による設計で、コンクリート打ちっ放しながら
住宅地の中にもマッチした建物でした。
すぐ横には司馬遼太郎氏の居宅と書斎があり、窓越しながらも中の様子を見ることができて、
今も司馬遼太郎氏が書斎で小説を書かれているかのように時間が止まって感じられました。

「坂の上の雲」の読破に気を良くして、今は「覇王の家」「竜馬がゆく」を同時進行で読んでいます。
先に、こちらから読んでおけばもっと早く読めたのではないかなぁと思いながら
どちらの本とも、まるで映画を見ているかのように感じさせる文面で読み始めたら中々止まりません。
これら三冊は、戦国時代、幕末時代、日露戦争時代といずれも激動の時代を
主人公たちがどのように考え、どう行動したか 
司馬遼太郎氏が細部に渡って文献を調べ、仮説を立てた詳細が書かれています。
当時、司馬遼太郎氏が新たな作品に取り掛かるとき、あらかじめ膨大な
資料収集をしたことで知られおり、そのテーマについての資料本が
神田神保町の古本屋街から消えるという「伝説」さえ残っているそうです。

今またしても、世界は激動の時代に突入しています。
出口治明氏が『物事を正確に分析するためには、「タテヨコ算数」で考えることが大切だ』と
言われているように
タテ→歴史的な視点、ヨコ→世界の人がどう考えているかという視点、
算数→具体的な数字でとらえること
をもっと学ぶ必要があるのではないでしょうか?
司馬遼太郎氏は大阪外国語大学を卒業し新聞記者をされたことで、
「タテヨコ算数」を考えることが自然と身に付き小説家として大成されたのではないかと想像します。

司馬遼太郎記念館は、高さ11メートル3層吹き抜けの大書架に約2万冊の蔵書が並んだ圧巻な空間です。
コンセプトは、「感じる」「考える」記念館という位置づけだそうです。
これからも時には足を運んで「感じる」「考える」大切さを思い起こそうと考えています。